マイケル・チェーホフ

モジュールプログラム

20世紀を代表とする俳優であったマイケルチェーホフと彼の演技テクニック、それを体系立てて学べるモジュールプログラムについての解説。

マイケル・チェーホフ

 マイケルチェーホフ(1891-1955)は20世紀の偉大な俳優の一人に挙げられます。モスクワ芸術座を、スタニスラフスキー、ワフタンゴフ、メイエルホリド、マイケルチェーホフらの協力によって大胆で、表現豊かで、想像性にあふれた劇場へと導いていきました。1928年にロシアを離れることになり、演技や演出や教授をして11年間をヨーロッパで過ごしました。身体と想像力を使った、彼独自の精神的・身体的演技テクニックを開発しました。1939年にニューヨークに、後にハリウッドに移り住みました。そこで彼は新たな世代のアメリカの俳優を指導したのです。

  創造過程の鋭い観察者としてマイケルチェーホフは、心と体つまり「見えるものと見えないもの」の間の関係性を研究したのです。彼はまた集中や想像の力を土台とした、身体的身振り(サイコロジカルジェスチャー)、想像的な核(イマジナリィセンター)、雰囲気(アトモスフェア)といったシンプルで明確なツールを見つけ出しました。実践でこれらのテクニックを使うことによって、比較的に短い期間で自分の役を見つけ出すことを可能にしました。俳優の想像的な個性の扉を開けてくれるのです。

マイケルチェーホフ演技テクニック

マイケルチェーホフは、役者の創作現場をつぶさに観察することで、心と体のつながりを研究し続けた。彼のテクニックはこの「サイコフィジカル(心と身体)」を土台とし、動きを通して役に必要な感情を呼び起こしたり、演技を行う上での必要な要素を見つけたりする。その例としては、チェーホフテクニックで最も有名な「サイコロジカルジェスチャー(心理的動作)」である。全身を使った動きを使った、ジェスチャー(動作)を行うことで、役の行動や目的を見つけ、また身体化させ演技につなげる。

 役作りにおいては、自らの過去やトラウマではなく、想像力を使い役そのもの存在を見つけ変身していく。イマジナリィセンター(想像的核)やイマジナリィボディ(想像的身体)などのテクニックでこうした役作り方法を学ぶことができる。

 そのテクニックはチェーホフの直接の教え子であるジョアンナ・マーリン、マラ・パワーズ、グレゴリー・ペック達によって広められる。現在ではアメリカのマイケルチェーホフ協会(MICHA)はチェーホフテクニックの拠点であり、ヨーロッパではマイケルチェーホフヨーロッパ(MCE)を中心に広がり、世界中の学校やスタジオなどで学ばれ、プロの俳優などにも使われている。近年では韓国、台湾、シンガポール、中国などのアジア圏の学校やスタジオでも取り入れられている。

日本ではチェーホフの代表的な著作"TO THE ACTOR"は、日本語に翻訳されているが誤解も多く、また体系立ててマイケルチェーホフについて学べる場所は日本ではない。2018年よりマイケルチェーホフ東京が海外から講師を招聘し、定期的なレッスンを行うなどしてそのテクニックの普及にあたっている。

実践的にマイケルチェーホフ演技テクニックを学べる

モジュールプログラム

 モジュールプログラムとは、国際的な組織マイケルチェーホフヨーロッパ(MCE)がつくった6つのモジュール(演技構成要素)と1つのプロジェクト(実践)で構成された、マイケルチェーホフテクニックと演技を総合的に学べる演技プログラムです。

 このモジュールプログラムは、MCEから認定を受けた講師を招き行われます。ワークショップは全世界で実施されており、チェーホフテクニックを総合的にかつ、実践的に学べることで大変評判が高いプログラムです。日本では2018年・2019年・2023年に過去3回行われました。

【モジュールプログラムの概要】

・各モジュール(演技構成要素)は5日間にわたって行われます。 
・全てのプログラムを受講することもできますが、モジュール一つだけ受講することができます。
・各モジュールの最終日には全日程を受講した方にのみ修了書が贈呈されます。
・どのモジュールからでも参加でき、チェーホフテクニックが初めてという人でも参加できます。
・プログラムの一つである「制作プロジェクト」では、プロの現場でもテクニックを使えるように、作品制作の現場を通して学んでいきます。
・プログラムはヨーロッパを中心に行われており、ドイツ、デンマーク、スイス、クロアチア、スペイン、フィンランド、アイスランド、オーストリア、トルコ、また最近では台湾、日本、シンガポールといったアジア圏でも行われています。

 紹介して4年目になる今年は、東京では4つ目であるモジュールⅣ「役作り②|【私】が他者になる」を、大阪では2つ目のモジュールⅡ「躍動する空間」のを行います。こちらは他のモジュールを受けていなくても、受講可能です。

【プログラムの内容】

①モジュールⅠ「メイキングコンタクト/生きたイメージ」
 身体-想像力-感情 

②モジュールⅡ「躍動する空間」
 雰囲気-創造性のある自分-芝居

③モジュールⅢ「役作り➀」
 心理的身振り(サイコロジカルジェスチャー)

④モジュールⅣ「役作り➁ー役作りⅡ|【私】が他者になる」
 役作り-変身

⑤モジュールⅤ「観客との対話」
 与える-受け取る-分かち合う

⑥モジュールⅥ「パフォーマンスの構築」
 即興-構成-作品の様式